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インタビュー

「赤丸」と「白丸」を二大看板に、人気ラーメン店「博多 一風堂」を全国に展開する力の源カンパニー。2008年3月に海外初出店となったニューヨーク店が大ヒット。昨年12月にはシンガポールに進出するなど舞台は「世界」に変わってきている。躍進の秘密とは?

「博多 一風堂」は1985年の創業以来、博多のラーメンの代表格であり、ラーメン業界全体の牽引役としても活躍してきた。現在では国内54店舗、海外3店舗にまで拡大。どの店も連日、行列ができるほどの繁盛ぶりだ。日本、そして海外でも愛され続ける理由を、力の源カンパニー(福岡市中央区)の代表取締役・河原成美氏に聞いた。



――「今後、力の源カンパニーの新しい展開は?

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「赤丸」「白丸」「からか麺」といった代表メニューを、さらに磨きあげていきます。9月には東京・大森に白丸をベースにして、自分なりにラーメンがカスタマイズできる新業態をオープンしました。また、和太鼓集団の「TAO(タオ)」とコラボレーションした「一風堂TAO」も展開していこうと思っています。福岡の天神が1号店、シンガポールに2号店、そしてやはり9月に東京・銀座に3号店をオープンします。コンセプトは「日本のかっこよさを世界へ」。「一風堂TAO銀座店」は、そのためのフラッグシップショップと位置づけています。すでにオープンしているチャンポン店や味噌ラーメン専門店もブラッシュアップしてブランドとして確立していきたい。一杯500円以下のラーメン店の構想もあります。

 

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また、銀座と京都の「五行」をリニューアルして、「IPPUDO NY」のコンセプトを打ち出しそうと考えています。現在はニューヨーク、シンガポール、アムステルダムに現地法人があるのですが、海外で研修を受けた外国人スタッフを日本に集めて、日本国内の五行を「IPPUDO NY」の業態に切り替えようと思っています。その他にも「チャイルドキッチン」という親子で参加できる体験型の料理教室や、農業法人での野菜の生産、研修施設の建設など、やるべきことは山ほどあります。

 

――海外はどのエリアに注力するのですか?

アジアでは韓国、台湾、中国に、ヨーロッパではアムステルダム、ロンドン、パリなどへの展開を考えています。5年後までに10カ国、30店舗というイメージです。中でも中国はマーケットとして非常に大きい。以前、中国に進出した時は合弁でなければならず、合弁先と人材観などいくつかの点で理念を共有できませんでした。その時は「一風堂」とは別ブランドでしたが、近々、一風堂として進出しようと考えています。形態はジョイントベンチャーかライセンス契約になるでしょう。将来的には中国全土で数百店舗の規模になるかもしれません。

 

――河原社長にとってラーメン、またはラーメン店はどんな存在ですか?

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一風堂ではこれまでラーメンを通して、お客様に「ありがとう」を伝えよう、と言い続けてきました。ラーメンをツールやメディアとして捉えたのです。この考えが最近、さらに進化して、「店をツール、メディアとしてお客様と地域に関わっていこう」という言葉になりました。ラーメンが美味しいのは当たり前だし、ラーメンを作り、サービスするスタッフがきびきびしているのも当たり前。味や接客やコンセプトや、スタッフそれぞれの思いなどの集合体である店全体が、地域コミュニティに入って、良い影響を与えていかなければならない。そう強く思うようになりました。飲食に携わる人は、若い頃の僕のようにハンパ者が多いから(笑)、「俺は俺のやり方でやるよ」などと言う人がたくさんいます。でも独りよがりではだめなんです。もっと大きなフレームを持っていないと、すぐに頭打ちになるし、壁を乗り越えることができません。志、夢、希望がないと、そして自分の仕事に対する軸がはっきりしていないと、人も店も成長しません。最終的に大切になるのは志です。ぼくにとっては、その志を表現するのがラーメンであり、ラーメン店です。

 

――スタッフ教育で気をつけている点はありますか?

一風堂で働く人の多くが「河原の接客やチームづくりを勉強したい」と言ってくれます。ありがたいことだ、と思います。同時に、本質を伝えていくことの大切さと難しさも実感しています。現在は店舗運営、本部運営、調理技術、経営技術、企業理念など、あらゆる専門知識をじっくりと身に付ける「力の源アカデミー」という社内研修制度を実施しています。この制度がさらに充実し、社員全員に浸透していけば、力の源カンパニーはもっと輝くと思います。僕自身は世界に打って出たい。一緒に働いている仲間たちと、可能性に挑戦したいんです。海外の方々にとって、日本の伝統文化や日本人の気質は高い価値を持ったものとして認識されています。その意味でも日本の飲食業者が活躍できる余地はまだまだたくさんある。僕は21世紀の新しい飲食業にラーメン店が新しい提案を打ち出し続けることには十分な意味合いがあると考えています。世界にはその提案を受け入れてくれるマーケットがあるんじゃないかな。いや、「あるんじゃないかな」じゃなくなくて、あります。だから将来を考えると、本当に楽しい。もちろん、言うのは簡単だけど、実現するのは難しい(笑)。でも、思わないことには、何ひとつ始まりませんからね。まずは「そうありたい」と強く思うことです。

 

 

企業データ

会社名 : 株式会社 力の源カンパニー

本社所在地 : 福岡市中央区薬院1-10-1

社員数 :1644名(社員192名)※力の源カンパニー単体

資本金 : 1億3350万円

売上高 : 年商79億円(2009年12月期)

店舗数 : 「博多一風堂」国内54店、海外「IPPUDO NY」1店、他「五行」など多くの店舗を展開。

URL : http://www.ippudo.com

 

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