肉には赤、魚料理には白とワインに合わせるなら洋食!という考え方はもう古い。和酒とワインと和食が楽しめる同店「ひとはし」は、そんな常識をくつがえす新たな飲食文化を発信している。 名駅3丁目エリアは多くの飲食店が立ち並ぶ名古屋の激戦区。そんな場所に築70年もの古民家を改装して昨年オープンしたのが同店だ。古き良き部分を見事に生かしつつモダンな雰囲気を取り入れた店内は、ボックス席やソファ席、掘りごたつ席など全80席を設け、どこかほっとできる落ち着いた空間が特徴。 この空間で楽しめるのが前述のように和酒とワインと和食だ。和酒(日本酒や焼酎)と和食の相性が良いのは誰もが想像できるが、ワインと和食の組み合わせは少し目新しいのではないだろうか。繊細な味付けや素材を活かしたヘルシーな和食は意外とワインとの相性がよく、特に国産のものを合わせると絶妙なコラボレーションを実現するという。そもそも国産ワインは、和食の要となる味噌・醤油・米酢との相性がよいとされるが、温暖化の影響も手伝ってワイン造りに適した冷涼な気候・土地が日本の山梨なのだそう。同店はそんな質の良いワインが作られる山梨の甲州ワインをはじめ、和食に合うワインを数多く取り揃えている。「和食にワイン?」と不信感を拭えない人もココでならワインの新しい楽しみ方を発見できるかもしれない。注目したいのはワインだけではない。同店は和酒にもただならぬこだわりを見せている。日本各地から仕入れる本格焼酎をはじめ日本酒も豊富で、特に同店オリジナルの日本酒が客の人気を集めているというのだ!このオリジナルとは、地元愛知の関谷醸造と協力し田植えから仕込みまでを同店スタッフが手伝っているのだ。完成まで約1年の時間を要し、出来上がった日本酒には携わったスタッフで名付けるという名前も含めて100%オリジナルの日本酒。自分達で造った酒に名を付け、さらにはラベルも手作りというこの貴重な日本酒は、同店でしか味わえない特別なもの。既に完成した初代の日本酒は「壱(はじめ)」と命名され、オープン間もないが完売してしまったという。お酒に合わせる料理も忘れてはいけない。メニューはどれも旬を先取りしたと言わんばかりの内容で「自家製豆冨」「天ぷら」「釜飯」を看板メニューに「作りたて・揚げたて・炊きたて」の一番美味しい状態で提供している。オススメは「ひとはし寄せ豆冨(480円)」。これは毎夕18時に出来上がるように仕込まれまさに作りたての状態で味わえるのもうれしい。また鮮魚は“良いモノがあったら仕入れる”というスタイルで富山の氷見港や北海道・高知から直送される。さらに驚くのはグランドメニューの内容を四季ごとに変更していることだ。いつ行っても同じものが食べられるのではなく、その時々、季節ごとで違った味覚を楽しめるのも同店の魅力である。まさに“今”が楽しめる料理とお酒へのこだわりは、本当の意味での“食の楽しみ方”を教えてくれる。まだオープンして間もない同店だか、このこだわりで「ひとはし」という名を浸透させ名駅の激戦区で更なる新風を吹き込んで欲しいものだ。
(取材=藤川)