今年、9周年を迎える純系名古屋コーチン専門店「とりころろ」。厳しい飲食業界の中、味や看板ひとつ変えること無く愛され続けてきたこそのこだわりが垣間見える。 名古屋コーチンと言えば、高級食材として全国的にも有名だが、その肉質は美しい赤みを帯びており、適度に香りの良い油がのっているコクのある味が特徴。 同店では朝挽きした鳥を使用しているため、様々な部位を刺身で食すことができる。中でもオススメしたいのは「あぶら肝の刺身(¥1280)」。臭みがなく、まろやかでフォアグラのような濃厚な味わいだ。希少部位のため、週末ともなれば開店2時間で売り切れてしまうほどの人気も納得の逸品。 丁寧に串打ちし備長炭で燻し焼く、コーチンならではの弾力が楽しめる串焼きは、一本から注文できるため、様々な部位を味わうことができるのも魅力。 また、締めとして必ずオーダーされるのが「焼き鳥屋の塩ラーメン(¥880)」だ。コーチンの鳥ガラと蛤でダシをとったスープは透きとおり、ほどよい油が麺と絡み合うあっさりした味わい。コーチンスモークと薫製卵が入ってこの価格は、実に良心的と言えるだろう。 焼酎は常時約200種類が用意されており、なかなか出会えない幻の焼酎とも、あっさり巡り会えると足繁く通う客も多いという。 ほどよくダウンライトされた店内には、一枚板のカウンターがあり、同店のためだけにつくられた備前焼、唐津焼きの器によって料理がより一層引き立てられている。大人たちがしっぽりと料理や酒を楽しむには、心地よい空間がますまず時間を忘れさせ、ついつい長居してしまいそうだ。 今後も大人たちの舌を唸らせる粋な店として勝ち残っていくことを期待したい。
(取材=伏屋みかこ)