東京を中心に、関東圏、関西圏に店舗展開する「えん」が、今年4月に名古屋初出店を果たした。JR名古屋タカシマヤ上という立地条件も手伝い、同店の「居酒屋以 上、料亭未満」というミドルアッパーな雰囲気と合致し「気軽に料亭の味を楽しみたい」という本物志向の客層から人気を集めている。 店舗数 を増やしつつある同店だが、丁寧な料亭の味を守るために、あえてセントラルキッチンスタイルは度外視しているという。すべて各店舗で出汁から仕込んでいる ため、和食の命である“繊細さ”が保たれているのが特徴だ。厳選した素材にひと手間ふた手間もかけ、まるで料亭で味わうような上品な味わいの創作和食を提 供しているのが人気の秘密である。 グループ客の多くが注文する「鮮魚の盛り合わせ」(2~3人前¥1900)は、季節によって厳選された 魚介が6種類盛り込まれた、同店の看板メニュー。毎日産地から直送で仕入れているので、居酒屋の刺身盛りといえども、料亭の味に引けを取らないのが自慢 だ。他にも、新鮮なキャベツを同社オリジナルの味噌で頂く「特製味噌の採りたてキャベツのかぶりつき」(¥900)など、素材に自信がないと出せないよう なシンプルなメニューが多いのも特徴のひとつだろう。 お昼どきには、平日限定メニュー(¥980)や、1050円からのお手軽なランチセットが人気。また、前菜からデザートまでを懐石風に楽しめるランチコース(¥1780)も魅力的だ。丁寧に作られた小鉢や逸品料理がフルコースで頂けるのに、この値段設定はかなりお得感を誘う。40代の女性客を中心に、本物の味をリーズナブル に楽しみたいという、目の肥えた客層のリピート率が高い。 逆に夜は、仕事帰りのビジネスマンや、ちょっとした接待などの利用が多く、昼に 比べて男性客の比率が上がるのが特徴。男性客というものは「サッと食べてパッと帰る」のが飲食業界の定説となっているが、同店では男性グループ客の平均滞 在時間が、約3時間と長め。心をこめて作られた丁寧な料理と、シックなイメージの店の雰囲気が、独特のゆったりした空間を創り出し、男性客にもついつい長 居をさせてしまうのだろう。 関東圏からの名古屋への初出店ということで「味覚の違いを指摘されないか配だった」と店長の丸山氏。味に対する要望があれば検討しようと考えていたそうだが、出店から数カ月、顧客の味に対する満足度は高いという。丸山氏は「関東とか名古屋とか関係なく、心のこもっ た料理と接客でお客様をおもてなしたい」と語る。手間ひまはかかっても本物を提供したいと誠実に店を構える同店。名古屋の舌にも、その心は届きそうである。
(取材=佐藤 江美)
店舗データ
店名 | えん JRセントラルタワーズ店 |
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住所 | 愛知県名古屋市中村区名駅1-1-4 JRセントラルタワーズ13F |
アクセス | 総合名古屋駅直結 |
電話 | 052-533-0260 |
営業時間 | ランチタイム11:00〜16:00(L.O.16:00)、ディナータイム16:00〜23:00(L.O.22:00) |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 100坪・142席 |
客単価 | 昼1300円、夜3700円 |
運営会社 | BYO.CO.LTD |
関連リンク | えん名古屋店 |