2008年、名駅北に「魚正宗(写真上から1)」「Diavolo e Banbina(写真上から2)」「ちょもらんま酒場(写真上から3)」の3件をを同時オープンし、2009年さらに「金シャチ酒場(写真上から4)」を並びでオープンしたSORAグループ(名古屋市中区、代表:鈴木善姿子氏)。繁華エリアから少し離れた一角に立ち並ぶ4件の店は、名駅の風景を変えたといっても過言ではない。 4件を並びで立てたのは「とりあえず足を運ばせる」ことが大きな理由だと鈴木氏は語る。名駅から少し離れたエリアだけに、1件だけでは集客に結びつかないという計算だ。新鮮な魚介やマンボウの腸などが楽しめる「魚正宗」、他では味わえない薪窯焼きのピッツァが味わえる「Diavolo e Banbina」、本格的な四川料理が楽しめる「ちょもらんま酒場」、鉄板ホルモンや焼とり焼とんが自慢の「金シャチ酒場」と、4件すべて違う業態を取っており、客は「とりあえずあのエリアまで行ってみよう」と思うのである。 名古屋の飲食は、高い店と安い店のハッキリした二極化が進んでいる。その時代の中で、あえてニッチのミドルアッパーを狙って、食材や接客の良さでコストパフォーマンスを感じてもらうのが同社の戦略。「不況の中でも商品が立ったお店というのは必ず残っていきます。息の長い店を大切に育てていくのが我が社のスタンスです」と鈴木氏は信念を語る。 かといって、商品の値段は意外にお値打ちである。「魚正宗」なら宴会コースは2500円から、「Diavolo e Banbina」ならピザが980円から食べられるのだ。その秘密は、4件の一括仕入れである。店裏には4件の共同冷蔵庫があり、安くて良い食材を一括で仕入れ4件で使うことにより、中間マージンを極力抑えているという。ここにも、並びで店を構える利点が隠れている。 現在では4件の並び酒屋を「名駅酒場」と名付け、客にシールを配っているという。このシールを持っている客はサービスが受けられたり、店のスケジュールが配信されたりする寸法である。誰が見るか分からない媒体に力を注ぐよりも、確実に客と店との相互コミュニケーションが取れるツールを自ら作り出すという強気の姿勢だ。 「これからも名古屋にない店をどんどん出していきたい。紹介制の懐石料理店なんていいですね」と語る鈴木氏。SORAグループが、今後の名古屋の飲食業会を活気づけていきそうである。
(取材=佐藤 江美)
店舗データ
店名 | 魚正宗 |
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住所 | 名古屋市中村区名駅3-11-16 |
アクセス | JR名古屋駅桜通口より北へ徒歩8分 |
電話 | 052-433-9955 |
営業時間 | ランチ11:30~14:00(L.O.13:30)、夜17:00~24:00(L.O.23:30) |
定休日 | 日・祝 |
坪数客数 | 20坪・47席 |
客単価 | 2500円 |
運営会社 | SORAグループ |
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