“立ち飲み不毛の地”とも言われていた名古屋を中心に、あえて立ち飲みスタイルの店「大黒」で挑むのが光フードサービス(名古屋市中区、代表取締役:大谷光徳氏)。今年5月29日に名駅の堀内ビル地下街に4店舗目をオープンさせるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。 東京や大阪では確立している立ち飲みスタイルだが、名古屋ではまだまだ認知度が低いのが事実。立ち飲みの回転率の早さ、利益回収率の高さに注目した大谷氏は2年前、あえて名古屋の地で立ち飲みの出店を決意。客とスタッフの距離が近い立ち飲みスタイルなら、こだわり抜いた食材や店の情熱を伝えられるのではという狙いだ。 店の看板として提供しているのは、豚肉が中心の串料理。通常の焼き串はもちろん、珍しい内臓類も充実だ。直腸である「てっぽう」(90円)、食道である「しきん」(150円)、肺である「ふわ」(150円)など、他店では見たことのないような部位が、30種類以上も並ぶ。また、新鮮さが売りの「レバ刺し」(390円)も、さっぱり食べられる夏のメニューとして人気を集めている。 このような内臓類を、自信を持って店に出せる理由は、肉の新鮮さにある。毎日独自のルートで仕入れる豚肉は、まだ動いているような新鮮なものをまるごと1頭買いするのが同社流。店舗で内臓の部位ごとにさばき、その日のうちに客に提供するというこだわりぶり。新鮮な内臓には臭みがなく、旨味が凝縮しており、ターゲット層である40代男性、本物を見聞きしている層の舌をも満足させている。 「大黒」の一番のモットーは、「利他主義」であると大谷氏は語る。「自信を持って食を提供できるような店、お客さんに楽しんでもらえる店を作る」という思いのもと、独立するにあたり全国の生産者ネットワークを尋ね歩いたそう。提供側が納得した食材を、直接生産者から仕入れることにより、安心安全な商品を消費者にリーズナブルな値段で提供することが可能となった。 「利他主義のもとに、誰もが笑顔になれる企業にしていきたい」と語る大谷氏。契約農家を自社で持ち中間マージンを極力抑えることによって、商品の価格を抑えるとともに、農家への還元率も上げて行きたいとの考え。また、店で出る生ゴミは畑への有機肥料に、プラスティックゴミは社員のブレザーにするなど、店と客のWIN・WINだけでなく、地球環境を加えた三位一体のWIN・WIN・WINを目指すことが企業としての到達点なのだとか。 地域に根ざした経営スタイル、誰もが喜びを共有できる店「大黒」とともに、名古屋の立ち飲み文化の発展に期待ができそうだ。
(取材=佐藤 江美)
店舗データ
店名 | 立呑み焼きとん 大黒 堀内ビル店 |
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住所 | 名古屋市中村区名駅3-25-9 堀内ビルB1 |
アクセス | 総合名古屋駅より徒歩3分、地下鉄桜通線国際センター駅より徒歩2分 |
電話 | 052-563-1141 |
営業時間 | 11:30~15:00、17:00~23:00 |
定休日 | 無休 |
坪数客数 | 20坪・65席 |
客単価 | 2000円 |
運営会社 | 光フードサービス株式会社 |
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