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インタビュー

ジェイプロジェクトの最大の武器は「人」であり、人の成長こそが企業の成長と語る新田氏。躍進を続ける株式会社ジェイプロジェクトの人間力に迫る!

東海エリアを中心に今や関東、関西エリアに85店舗を展開する株式会社ジェイプロジェクト(名古屋市中区 代表取締役・新田治郎氏)。外食不況をもろともせず前進し続ける同社の打ち手は「選択と集中」という。常に時代を読み、新しい業態への取り組みを行いつつ、確実に利益を出す体制をつくるジェイプロジェクト躍進の組織力、十年後の展開を新田氏が語る。


――まず、飲食業に参入したキッカケは?

1985年にディスコを経営する日本レヂャー開発株式会社に入社し、1990年24歳の時、東海地区を統括する名古屋レジャー開発株式会社の社長に就任しました。1997年、親会社の経営悪化を受け名古屋レジャー開発が解散することになり、通常なら全員がバラバラになるところ、専務をはじめ、みんなで何かやろう!という話になったのがキッカケです。今まで通りの給料を払えず、一律20万の給料でみんなで再起しよう!と、誓い合いました。
当初、それでも社員は30人程いましたから、まずみんなを食べさせないといけなかったので、飲食店であれば早くここから復帰できるんじゃないかと考え同年3月、中区/住吉に「にんにくや」をオープンさせました。次々と大箱で展開する僕を心配する業界の先輩からは「そんなことをしていたら潰れるぞ」と、よく言われましたね。でも、社員のために、まずは箱をつくらなければと「雑草家」「庵GURA」「てしごと家」を次々にオープンさせました。
 

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――現在の飲食業界の動向、商況をどのように捉えていますか?

去年の夏から秋にかけての落ち込みを考えると、年末から徐々に回復し今年3月からは良くなってきています。居酒屋市場は一兆円と言われていますが、大きく減ることもなければ、大きく増えることもないのです。どちらかと言えば、飲食店の数が問題で、つまり需要と供給のバランスなのです。
2000年~2005年は、東海エリアは愛知万博に向けて飲食店のバブル期でした。言わば、出店すれば儲かる時代。名駅や金山など、需要と供給が合っていなかったエリアでは、びっくりするほど売上が上がりました。当時は、40坪で2000万くらい売上があっても普通でしたが、今は同じ坪数でも1000万の売上をあげるのは難しいと言われる時代。今後は今以上に強弱がはっきりするでしょう。お客様が居酒屋へ足を運びたくなるような付加価値を提供できる店だけが残る時代だと思います。
お客様のニーズの多様化が進み、様々な業態が誕生すると考えていますが、最終的にはオンリーワンの店舗が勝つ時代になっていくと捉えています。
 

――業態の多様化に関しては、どうお考えですか?

僕は業態がどうこうとは考えていません。むしろ業態よりも大切なのは、人材。力のある人間は、どこへ行ってもデキる。芋蔵だから良くて、古い業態だからダメではないのです。実際に10年程前にオープンした業態でも、前年比130%を計上しています。売上に影響するのは業態だけではないと、僕自身は捉えています。
結局、サビース業というのは人が重要なのです。
 

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当社が名古屋で飛躍的に伸びた要因は、愛知万博の飲食店バブル期にスタッフの数が多く、出店することが可能だったという状況があります。
有効求人倍率が東京を抜き、一番厳しいときだったので、出店を増やしたくてもできない会社も多かったのだと思います。
また、当社のエース級のスタッフはどこのエリアへ行っても、どの業態でも関係なく売上を上げます。景気やマーケットの状況に左右されることなく勝ち残っていける人材が飲食業において最も重要だと考えています。

社員の数だけスターを作れ、というのが基本の考え方です。店長やスタッフがスターであれば人は集まる。例えばディスコでは料理やお酒が特別美味しいワケではない、それでも人が集まってくるのは店にスターがいるから。名古屋のキング&クイーンには、当時60人の黒服がいました。全員が10人ずつお客様を呼んだら、600人で店内は満タンになるわけですから、簡単な話なんです。来店されたお客様が楽しんでくれて、それをまた人に伝えて人が人を呼んでくれる。飲食は、業態や食材だけにこだわりすぎると利幅は薄くなる。スター選手がどれだけいるか、は非常に重要だと考えています。

――昨年のジェイプロジェクトは減収、増益でしたが、どういった打ち手をとられたのでしょうか?

2008年秋のリーマンショックから厳しい時代が来ることは分かっていましたし、どちらかと言えば2007年の飲酒運転の罰則強化から、厳しくなりつつあったというのが実情でしょう。我々、居酒屋業態はしっかりとした対策を練らなければいけない状況にありましたから…。飲酒の取締が厳しくなったことで、客単価は下がり、出店エリアによっては終電の時間を過ぎると、お客さんは大幅に減り、深夜の売上はみるみるうちに落ちたのです。その対策として当社が行ったのが「選択と集中」です。
深夜や祝日の営業時間、定休日の見直しを実施し、売上とのコストバランスを考え、最適な営業日程を採用したのも一つです。
全部を縮小したわけではなく、伸ばせるところは伸ばす、一律ではなくその店舗に合った時間を見極め、上手くコントロールすることで、人件費を一億円ほど削減することができたのは大きかったと思います。様々なコスト改善や不採算店舗の撤退を行った結果が、増益につながったと言えるでしょう。
飲食店は、オープンする時もお金がかかるが、店をたたむにもお金がかかる。当社は、健康状態が良かったので、この戦略を採用できたというのも背景としてあると思います。
 

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