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インタビュー

全国区において直営・FC飲食チェーンの経営をしている株式会社アトム。幾度もの合併を繰り返し成長してきた会社の“目指すべき業態づくり”について、社長の植田氏に語ってもらった。

東海・北陸を中心にファミリーレストランや居酒屋など様々な業態を展開している「株式会社アトム」(名古屋市中区 代表取締役社長 植田剛史氏)。外食不況が続き転換期を迎えた飲食業界で5年・10年先でも生き残れる業態づくりについて植田氏が語る。
※本インタビューは、平成23年1月末に取材した内容であることを予めご了承ください。尚、株式会社アトムにおける代表取締役の異動発表により、平成23年4月1日より代表取締役社長に小澤俊治氏が就任されます。併せてご了承ください。


intervew05_01.jpg――様々な会社と合併している株式会社アトムにとっての会社づくりとは?  

 弊社は株式会社コロワイドとの連結をはじめ、元の株式会社アトムが株式会社がんこ炎を吸収合併し、2年前には株式会社ジクトと合併するなどいくつかの会社と合併を繰り返し今の株式会社アトムが誕生しています。もちろん違う会社で働いていた従業員同士が同じ環境で働くことは簡単なことではありません。大きく分けると6つの文化が合併により一つになりました。それぞれ働き方や育ち方、育てられ方の違う人が集まっています。そんな中私が一番大事にしてきたことは、どの会社の文化も認めるのではなく目指すべき目標をまとめ上げる立場の社長や幹部がしっかり従業員に示すことです。合併した後にどこを目指すのかをはっきり示すと自然に同じ目標を持ちそれに向かって文化の違う従業員たちが一つになれるのです。吸収される側も不安だと思うし何かが変わってしまうのかもと思うかもしれません。私自身も吸収を経験しているのでそんな気持ちも理解できます。ただ吸収されたところで何も変わらないんですよね。私たちがやっていくことは飲食業であり、美味しい料理を出し質の良いサービスで付加価値をつける。そして満足されたお客様がまた来店されるというサイクルは何も変わりません。そこを忘れずに、目指すべき目標を明確にし、会社づくりをしていけばちゃんと前に進んでいくことができるんです。
 

――『人間の4原則』についてお聞かせ下さい。 

コロワイドグループの考え方に『人間の4原則』=「素直」「感謝」「お詫び」「本気」というのがあります。これは組織の中で働く上で最も大切なことを示しています。一つ目の「素直」は人の意見を聞くことができるかどうか。人は経験を重ねるごとに自信がつき力となりますよね。でもその経験が時に悪い方向に作用する場合があります。そんな時この「素直」を大事にしていれば人の意見も聞き入れることができ自分の経験にプラスすることができます。そして人の意見を聞ける人であれば回りの仲間も間違っていれば指摘するだろうし助けてくれますよね。そんな仲間があっての自分に気づくことができれば「感謝」も自然に身に付きます。これが2つ目の「感謝」。そして3つ目の「お詫び」は間違った事をしてしまったときにちゃんと謝罪できるかということ。そして最後の「本気」は何か目標に向かっていく時に「本気」になれるかどうか。「本気」じゃなかったら人は動いてくれないですよね。当たり前のことばかりですが、この基本的な4原則が実行されると凡人な集団が非凡となり大きな力になるのです。また、弊社では幹部になる為の考え方として「リスク」「実行」「責任」というのがあります。これは店を大きくすることや事業を新たに展開していく上で「リスク」は必ず伴います。何か新しいことに挑戦していく中で安全な道だけではないし「リスク」を背負うことでの学びもありますよね。そしてコロワイドには「3勝5敗の精神」というのもあり、負け越しても「実行」することに意味があると考えています。動き出さなければ何も始まらないのと同じで、権限を持ってる人は自分のやりたい事ができるんだからとにかく「実行」して欲しいですね。もちろん全戦全勝のつもりで実行してもらいますが…。最後の「責任」はこれらの事に単純に責任を持つということ。こんな幹部だったら人はついてくるし成功へ繋がると考えています。
 

――業態統合についてはどうお考えですか?

これについては看板の数を減らしていくというよりは、新たに業態を再構築するという考え方で進めていこうと思っています。どの業態も5年・10年先にちゃんと残れる業態であることをまず重視し再構築を考えています。キーワードは「競争力をつける」。お客様を満足させるには何か看板になるものが必要ですよね。目玉商品があるとか、従業員が売りだとか…。そんな強みを持っていれば、お店や従業員の自信となりサービスとなり、顧客満足に繋がるのではないかと思います。そして、満足されたお客様が再来店することでお店の利益として戻りプラスの流れができ、何年先でも生き残っていけるお店となるのではなでしょうか。また、株式会社アトムとコロワイドの中での仕入れをどこまで業態に落とし込めるかも統合にあたって注力したいと思っています。例えば、焼き肉店で仕入れたお肉の使わない部分をハンバーグ店でパテとして利用するシステムを作るなど"マス"の力を使っての仕入れ力を各店舗に落とし込み無駄をなくすことも統合するにあたって実現していきたいと思っています。
 

――飲食業界では居抜きブームとなっていますがどうお感じですか? 

intervew05_05.jpg経営者にとっては厨房があって内装も整っているというのはありがたいことで、そこを利用することは間違っているとは思いません。ただお客様にお金を出して食べに来てもらうのであれば、プロの味でなければいけないし、お客様の安全を損なう作りではいけないと思います。安心・安全であるということは店舗づくりで大事なことです。例えば郊外の居抜き物件で新たにお店をオープンさせたとして、立地からファミリーが多く来るわりには段差が多いとか、テーブルなどの角で子供が怪我をする恐れがあるとか…。こんな状態では利用してはいけないし、理由があってダメになった物件であることの理由をしっかり考慮し、その上で有効活用しないと意味がないのではないかと思います。

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